トラブル



携帯電話が鳴る


着信音は「ゴジラのテーマ」




あいつだ




前に働いていた職場の上司
5、6歳年上だったかな


あだ名は「巨神兵
ガタイがデカイのもあるけど
どっちかって言うと
「この世でもっとも邪悪な一族の末裔」って感じ


だけども
友達みたいに家族的な付き合いをしてるから
別に嫌いって訳じゃない 電話されて嫌な訳じゃない



ただ こいつからの電話は面倒なことが多い



半分は「飲みに行こう」って誘い
これはなんの問題もない
どうせ金は出させるので むしろ嬉しい



でも 半分はトラブル


  「車のバッテリーが上がって家から出られない」
  「積み荷を縛る紐が絡まった ほどいて」


等々…


今は運送業をしている
「運転のプロ」だ
アイルトン・セナと一緒のはずだ


こいつ、本当にちゃんと働けてるんだろうか?
心配になることが多々ある




で、今日は何の電話だろう?「飲み」ならいいんだけど…



  「JAFの電話番号、分かる?」


トラブルだ…


  「知らんよ どうした?」
  「いや、鍵がさ。車の中…」
  「はぁ?今、どこよ」


聞いたらそう遠くもない
こいつの家はウチから5分ほどの所なので
そこで「合い鍵」をもらって現場に行けなくもない


  「そりゃ無理だ」
  「どうして?」
  「合い鍵も車の中だから」


どーして そーなる?
どーして わざわざめんどくさいトラブルにする?


  「じゃ、ネットでJAFの電話番号調べるよ メモ出来るか?」
  「メモも車の中」


お前は何がしたくて電話した?
暗記か?電話番号暗記するのか?
それとも地面に書くのか?


  「じゃ、電話番号メールするよ 後は何とかしろ」
  

しょうがない、ネットを開いて「JAF」で検索
なんだかいくつか電話番号があってよく分からない…


  「まだかよ」


人にものを頼んでる態度じゃない


  「もうちょい待って」
  「ネット、光じゃないのか?」


大きなお世話だ


  「いくつか電話番号があるから全部送るよ」
  「OK 頼むよ」


で、書いてあった電話番号を全部メールしてやる
この程度のトラブルで済んで今回はラッキーか…



ま、問題あったらまた電話あるだろ



   :
   :
   :
   :



2、3日音沙汰無し 解決したのかな
どうなったのか ちょっと気になる
メールしてみようか


  = で、その後どうなった? =




珍しくその日のウチに返信が来た



  = JAFは何となく嫌いだから「鍵屋」呼んだ =









てめぇ、



 ぶっ飛ばすぞっ!







元気にしろよ