ホームベーカリー



  「ねぇ ねぇ、見て見て
   買って来ちゃったの 


   ホームベーカリー 」





カミさんがホームベーカリーなるものを衝動買いしたようです


  「何する気?」
  「ホームベーカリーよ。パン作る以外にどうしようってのよ」
  「何故にまた パンなぞ作ろうと思ったんだ?」


  「だって ウチはみんな朝食はパンでしょ
   少しでもおいしいパンを食べたいでしょうし…
   ま、最初は失敗もするかなぁ
   でも、ちょっと慣れてきたら
   きっと売ってるパンよりおいしいパンが出来るようになると思うわよ
   どうせなら1日の始まりをおいしいパンで始めたいでしょ
   あったかいフワフワのパンよ
   それに長い目で見たら経済的だと思うのよね
   だって朝のパンだけでウチの食費ってバカにならないんですもの
   あの子達も大きくなって食べるようになってきてるのよ
   夜にね、パンの材料を入れてね、予約スイッチを入れておくとね
   あら不思議、次の日の朝にはパンが出来てるの
   そのパンの焼けるいい香りで目が覚めるのよ
   素敵でしょ」   




カミさんの高説を長々と聞いて 肝心な話をします




  「ホームベーカリーの魅力は分かったよ」
  「でしょ。いい買い物でしょ」
  「朝のパンのためってことだよな」
  「そう。
   みんなの健康と ウチの家計と アタシのちょっとした趣味
   これ以上ない いい買い物だと思うわよ。今年のヒット商品ね」
  「朝食のパンのためだよな」
  「何度言わせるのよ、そうよ」




  「俺、朝はご飯がいいんだよ」




  「え?」
  「ご飯。」
  「初耳。いつから?」
  「始めから。何度も言ってる」
  「だってパン食べてるじゃないのよ」
  「お前がご飯を炊いてくれてないからだよ」
  「いつから?」
  「結婚して2ヶ月くらいしてから」
  「随分になるわね」
  「粉を練って焼いたカスカスした物でパワーなんか出るかよ」
  「でもさ…」
  「夜にお米を研いで炊飯器にセットすることが出来ない人が
   パンの材料をセット出来るのか?」
  「う〜ん」


  「それ、ホームベーカリー、必要か?」
  「… アタシのちょっとした趣味に…」
  「昨日のシュンスケ並にいらないだろ」





  「その 腐ったリール程じゃないわよ」




ごもっともです




  ↑ 腐ったリールの代表格
  Shakespeare Criterion 1960 MODEL32