治療
フラフラする
体が火照る
目が「とろん」としてきた
頭がボーッっとする
食欲もない
完全にアレだな
まさか俺もなっちゃうなんてな…
こんな感じ初めてだ…
アレだ、アレ
：
：
：
：
「恋煩い」
間違いない
これは「恋」だな
ナマズに…
釣りに行かないと
重たい体を引きずって行かないと
いつもの川に行かないと
念のためにミミズも持って行くかな
逃げられないようにしっかり袋に入れて っと
暗くなる前に出発だ
「ちょっと、アンタどこ行く気」
「ちょっと治療に…」
「その体調で何考えてるのよ」
「よそ者のお前には信じられないだろうけど…」
「なによ」
「これは昔からこの地に伝わる治療なんだよ」
「もう知らないからね」
川に到着して とりあえずジタバグをキャスト
でもキャストが決まらない
なんか力が入らない 焦点が定まらない
ルアーはダメだ エサにしよう
天秤の仕掛けなら多少狙いが狂っても大丈夫だろ
今日はまだミミズも逃げ出してないしな
投げて座ってるだけ 竿先を凝視する
ゆらゆら竿先が揺れるのは川の流れのせいか？それとも？
ナマズが釣れたらラッキー
何が釣れてもいいや 何か釣れろ
何度かエサのミミズを付け替えると竿先がピクつく
ん？
なんか釣れたか？
巻いてみると…
ハゼだよ
お前、こんな所で何してんだ？川だぞココは
ま、釣れる話は聞いてたけどね
だんだんと集中力も出てきて
さっきハゼが釣れた辺りにもキャストが決まり出す
揺れる竿先の微妙な変化も認識出来るようになってきた
僅かなアタリ…
これもハゼ
海からはだいぶ離れてるけど
ここまで汽水域ってことなんだろうか？
さあ、かなり体調も回復したので
釣ったハゼを逃がして帰る事にしよう
と思ったら
隣に「シーバス・マン」が現れた
「こんばんは」
「こんばんは。釣れました？」
「ええ、ハゼが２匹」
「そうですか。ちょっと上流で投げていいですか？」
「もちろん。もう止めるところですから」
彼は「ハゼがいるのか…」
と言いながらルアーをセレクトしています
ちょっと見ていこうかな
バイブレーションをひたすらキャストしてる
釣れるのか？ココで
って言ってる間に 釣れたよっ!!!
４０ｃｍくらいかな 居るんだね
でもお前シーバスだろ。 川だぞ ココ
この川って
いつの間にか「海」になってたのね
ナマズは釣れないはずだわ
さて、帰るか
ところで
スッカリ体調は戻りました
ね、治療だったでしょ
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「鯉」が釣れたら いい「オチ」になったんだけどな
